ワイアナパナパ洞窟Waianapanapa Caves
王妃の魂が隠れる洞窟
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マウイ島東部、ハナの近くに、ワイアナパナパ州立公園があります。
州立公園のパーキングに車を停め、取材の準備をしていると、
現地の保健所のスタッフがまるで「ゴースト・バスターズ」の格好でタンクを背負い、公園内に殺虫剤を散布していました。
ちょうど私たちが訪れる数日前から、この辺一帯に強い威力を持つ蚊が異常発生し、
その蚊に刺されると痒いどころか、熱を出すこともあるとのこと。
暢気な私たちは、ビックリ仰天したのは言うまでもありません。
持参していた虫よけスプレー、そしてジャケットなどで完全武装して、こわごわ撮影をスタート。
ワイアナパナとはハワイ語で「きらきら輝いている水」という意味です。
ここには次のような伝説が残っているそうです。
昔、この地を支配していたカアケアという酋長には、
ポポアラエアという大変美しい妻がいました。
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カアケアは大変嫉妬深く、
いつも妻が、ハンサムな若い弟と不義を働いているのではないかと
疑っていました。
土地の人々も面白がって妙なうわさ話を流したりするもので、
ある日、ついに、カアケアは妻を殺してしまおうと決心します。
自分が殺されると知ったポポアラエアは、
従者の女性を1人だけ連れて城を飛び出し、
ワイアナパナパの洞窟に逃れました。
この洞窟は、人が隠れる野に丁度良い大きさで、手前に池があり、
その奥の深まったところにあるため、彼女たちはそこを安全な場所だと思ったそうです。
そこへ彼女たちを捜索しているカアケアの部下が、
ここの池のお水を飲もうと立ち寄りました。
不幸なことに、偶然ポポアラエアの従者が持っていたカヒリ(羽根飾り)の先端が池に写ってしまいました。
部下はそれを見逃さず、2人は発見され、殺されてしまったそうです。
このとき以来、このワイアナパナパのきらきらと輝く水面は、
クーの夜(ハワイの暦では神々の名前が毎日に振られていました。古代ハワイの太陰暦で毎月3日?6日を指すそうです)になると、
まるで血が流れたように、悲劇を写すがごとく赤く染まるということです。
実はこのワイアナパナパの池が赤く染まるのは、
春になると何百万という真っ赤な小海老(オマアエ)がこの洞窟に現れる為だそうです。
撮影の為、私たちがこの洞窟に行ってみると、なんと白人系の若者達が次から次へと
奇声をあげながら、この洞窟手前の池に飛び込んで、遊んでいました。
洞窟の近くには、王妃の伝説が記載された看板まであるのに、なぜ、その池に
飛び込めるのか、理解ができない気持ちで一杯でした。
この若者達に、撮影だからと遠慮してもらい、収録を終えた帰り道、
この池に生息する小海老を観察している地元の方に逢って
お話を伺う事ができました。
彼は、何年間か、この洞窟の水質調査を行っているとの事でした。
最近、観光客の心ない人達が、この池にサンオイルを塗ったままで
飛び込むため、小海老たちが次第に育たなくなってきているとの事でした。
ハワイアンの人々が大切に守っている、マナの溢れる場所。
みんなで、後世まで伝えて行けるよう、敬意を持って、大切にして頂きたいものです。
また、この洞窟のすぐ傍にはワイナパナ州立公園の中にあるマウイ島唯一の黒砂海岸。
別名「ブラックサンド・ビーチ」とも言われている海岸があります。